今年も夏が近づいてきました。電気を安定してお届けできる供給予備率の目安は8%。西日本では、周波数変換設備を通して電力の融通を行わないと最低限必要な供給予備率である3%を切る見通しの電力会社があります。
東日本の50ヘルツ(Hz)、西日本の60ヘルツ(Hz)、周波数を変えることで電力会社の垣根を越えて電力を融通する。今回は、周波数変換設備を持つ東清水変電所にスポットを当てつつ、周波数を変換するしくみと変換能力向上の歴史をご紹介します。
・日本の電気には、東日本の50Hz、西日本の60Hzと、2つの周波数があります。
・東日本、西日本間で電力を融通するには、周波数変換が必要で、周波数変換設備を利用します。
・現在の電力ネットワークが形成されるまで、約120年の歴史があります。
・日本初の周波数変換設備は1965年に運用を開始。それ以降、東西電力融通の強化を図ってきました。
・現在、周波数変換能力は合計で120万kWです。
・周波数変換能力を強化するためには、送電線をはじめとする送変電設備の増強・改修工事の必要があります。
・周波数変換は、交流の電気を直流に変換し、それをまた交流の電気を変換することで行います。
電気には「交流」と「直流」があります。
向きと大きさが一定の周期で変化する電気。一般家庭などでよく使われている電気です。
向きと大きさが一定の電気。乾電池などによって流れる電気です。
・電力会社9社は周波数変換能力をさらに90万kW増強し、合計容量を210万kWとすることを決定しています。
周波数統一については、長年にわたり何回も議論されていますが、電力会社とお客さま双方の既存設備の交換が必要となり、莫大な費用が必要となることなどの問題点があります。例えば、50Hz地域を60Hzに統一しようとした場合、政府の試算によると、発電機やタービンの交換に約8.1兆円、変圧器などの交換に約1.9兆円と、電力会社の設備を交換するだけで、約10兆円が必要となります。
出典「50Hzと60Hzの周波数の統一に係る費用について」(2012年3月7日資源エネルギー庁)